101. 混浴したことある? (1999.6.1)

両親と母方の祖母と私の4人で、鳴子温泉郷からさらに奥に入った「元蛇の湯」に行った。

そもそも母方の祖母が、老人会か何かで「蛇の湯」に行き、「とても効いた」というので、さっそく母が電話帳で調べた。最近の母の楽しみは温泉めぐりだ。
そして、早とちりの母は「蛇の湯」ではなく「元蛇の湯」に予約を入れたらしい。それが4月初めのこと。
その湯がかなり効いた母は、ゴールデンウィークにも予約を入れた。

「かなり効く」とか「薬膳」とか「露天風呂がいい」という情報を得て、私も同行する。
母の弟の運転で、約2時間の道中も楽しい。
さて、到着するやいなや、「露天・露天」と浮かれる老人達とともに、私も浴衣で風呂に向かう。
露天風呂は、別棟にあるから、一度、外に出る。宿が用意した下駄を履いて歩く。

カラコロと音を鳴らし、ゆっくり歩く(というより早くは歩けない)。
しか〜し、露天風呂の入口に近づくと、
「え? ひょっとして入口が1つ.............ということは???」
皆、どんどん進む。
「リッコ、早く」と言われるまま中に入る。
「こ・こ・こ・混浴〜〜〜!!!」「ドヒ〜」

叫び声をあげるのがおかしいほど、皆、平気で 浴衣をぬぐ。
嬉々として、風呂に向かう。
恥ずかしがっているのが、アホらしいほど、皆、自然に入る。
心を落ち着けて、まわりを見渡すと、ふむ・老人しかいない。
エイっと脱いだ。

そして、風呂に入る。いい湯だ。肌がすべすべする。
混浴なんて、小学校3年生以来だなぁ〜。
ゆっくりつかる。
この風呂では、シャンプーや石鹸を使わないルールだ。
そういうのを使う場合は、別の湯に入る。ここでは、ただただ、ゆっくりと湯につかる。

すっかりいい気分で風呂からあがり、着替えていると、ガラリと戸が開き、若い男性と目が会う。
浴衣をはおった私は平気だが、若者は、血相変えて、「すみません!」バタンと戸を締める。

戸の向こうで歓声があがる。
数分たって、おそるおそる、また戸が開く。
2人の若者が中に入るかどうか躊躇している。
着替え終わった私は、悠々とそこをすり抜け、外へ出た。

5月の風がさわやかにすり抜けた。