134. 地震の恐怖---2 (1999.9.22)

大揺れから数分がたつと、校内放送が流れ、私達は席に戻った。
ネギ先生は、自分のクラスに帰る。
私達のクラスには、人気者の担任・カトウ先生が帰ってきた。
カトウ先生は化学の担当で、その冷静な物腰が人気だ。
それが、どうしたことか、やっぱり顔面蒼白のネギ先生のようになっている。

「せんせぇ〜〜〜、大丈夫?」
聞くと、カトウ先生は化学の実験の授業をしていた。
実験室ではすべてのテーブル上で、アルコールランプに火がついていたそうな。
そのクラスは、女性らしい人が多く、皆「キャァ〜」と悲鳴をあげると、アルコールランプの火はそっちのけで、震え上がってしまった。

しかも、アルコールランプの上には、怪しげな試験管がボコボコしている。
先生は、「火を消しなさい・火を消しなさい」と連呼しながら、地震で大揺れの中、すべてのテーブルをまわり、火を消して歩いたのだそうだ。
試験管の中が何だったのか思い出せないが、それが倒れて火がついてしまったら、と考えるとゾッとする。
もっとも、それがどんな事態になるかを把握しているカトウ先生の恐怖は、大変なものだったと思う。
「火を消す手が震えたよ」と話してくれた。

ということで、それぞれの教室では、それぞれの恐怖に怯えた。

つづく...