137. 白か黒か (1999.9.25)

すぐに日に焼ける。
少し、外歩きが続くと、「あれ、オヤマさん、焼けましたね」とくる。
顔はアウトドアだが、実際には部屋にとじこもった暮らしだ。

最近の若い人達は、日に焼けた顔を「顔グロ(ガングロ)〜」というらしい。
逆に白い人は「顔ジロ(ガンジロ)〜」なんだって。

私は、高校生の時にテニス部にいたから「顔グロ」だった。
たぶん、昨今のコギャルよりも上じゃないかな?

でも、黒くなりたくてなったのではなく、一日中、外にいるから、嫌でも「顔グロ」。
どかた焼けとも言う。
色白でないと嫁にいけない、と信じている祖母は、この事態をなげかわしく思っていた。

「リ〜コちゃん、顔を洗っておいで」と言う。
「へ? もう洗ったよ」
「ダメ。まだ黒い」だって。

高校3年生の高校総体後、部活は引退する。
引退したら、「白くなりたい」と切実に願っていた。
やっぱり、当時は色白の方がかわいいと信じている。

卒業写真の撮影までには、なんとしても白くならなくてはいけない。
ところが、卒業写真の撮影は、春にいきなり始まってしまった(ガーン)。
春は、高校総体に向けて、最も練習に熱が入る時期だ。
「やだぁ〜、間に合わない」
でも、大丈夫。
だって、卒業アルバムは白黒写真だから、黒くたってわかんないよ。

そして、卒業式の当日、渡されたアルバムを見て、愕然とした。
白黒写真なのに、ハッキリ「黒い」とわかる顔。
集合写真の中から、ピカピカに光ったテニス部員の「顔グロ」を探すのは簡単だ。
撮影時は、そうとは知らず、おもいっきり笑った顔に白い歯が「ニ」。
より一層、「顔グロ」を引き立てている。

それは、Photoshopなどの画像処理ソフトを使うとわかるのだが(そんなの使わなくてもわかる? ハイ)、白黒写真はグレースケールなのだ。だから、黒い顔は、グレーの度合いが増すだけで、白くなることはなかった(泣)。

高校生の時、日本舞踊を習っていた。
発表会があると、白く塗られる。顔ジロ〜〜。
しかし、白塗りの部分と地の部分が不気味な「白と黒」のコントラストを形成する。
そのコントラストは恐いほどで、人様にはお見せできない。

色白が「めんこい」と信じてる祖母は、白塗りした私に満足で、
「リ〜コちゃん、いつも白いのを塗ってれば?」だって。
おいおい、学校で化粧を許してないべ。

私の両親、祖父母は、み〜んな色白なのに、私とすぐ下の弟だけが黒い。
どこかに必ず、黒い人がいたに違いないが、それは誰なんだろう。
今だに謎だ。