145. 本格派・気仙沼弁---32 (1999.10.16)

前回、「バ」の使い方について述べた。
「バ」は、そのシチュエーションと、発する時の速度と強さで、意味合いが異なる。
これらはとっさに出る言葉で、頭で考えるよりも、慣れしかないだろね。

もひとつ、使い方によって異なる言葉。
以前、「よた話」で、「だ〜れ」は、「誰」ではなく「Oh!」の意味で使うと述べた。
「だ〜れ、言ったっちゃ」は、「やだぁ、言った事を忘れたの〜!」と、喧嘩ふっかけの言葉になる。

この「だ〜れ」を二度言うと、つまり「だ〜れ、だ〜れ」(もしくは伸ばさずに「だれ、だれ」)は、「違う」と否定の意味になる。
例えば、つい、人の悪口などを口走ってしまった時などに、
「だれ、だれ、そんなごど言っては、わがんねよ」(ダメダメ、そんなことを言ってはいけませんよ)と使う。

作業中に、「だれ、だれ、何やってっけ!」と言われたら、
「ダメだ! 違うぞ! 何やっているんだ!(怒)」という意味になる。

もし、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」の、田原さん司会のディスカッションに、気仙沼人がゲスト出演したとしたら(って、そんなこと、ないだろうけど)、「だれ、だれ」の連発になること、間違いない。
「だ〜れ、あんだ、何、言ってっけ」
「だれ、だれ、そんなごどやってっから、日本の経済は良ぐならないのっさ」ってね(笑)

つまり、「だ〜れ」は、正確には、英語の「Oh!」の意味+否定 の言葉である。
これを「誰・誰」と一緒にしてはならない。
ま、これも頭で考えると難しいが、実際には、あっという間に慣れるだろう。インパクトの強い言葉であるとともに、気仙沼ではよく、耳にする。

さて、宿題の「シャッテ」はどういう意味でしょうか?
これは、かなり難しいようだ。スタッフ君が、「英語ですか?」と聞いてくるから、「いや気仙沼語だ」と言っておいた。

イサヲさんは、仙台で、おもわず「シャッテ」と言い、通じなかったそうだ。
状況は、こういうだ。

学生時代のある日、重い荷物を持っている。
疲労困憊していて、椅子に、荷物を置きたい。
しかしながら、すでに、椅子に荷物が置いてあるのを見て、おもわず、
「ちょっど、そごのイスの上の物(もん)シャッテッ!」と言ってしまった(極限状態で、緊迫感あふれる声)。
これが、ほとんどの人には通じず、佐沼(登米郡迫町)出身の先輩が荷物をよけてくれた。

これで意味は通じたかな?
「シャッテ」は、「よけて」とか「どいて」という意味。
「シャッテ、シャッテ」は「どいて、どいて」

私は「シャッテ」の方が「どいて」よりもリズミカルな言葉だと思っている。
これもラップ・ミュージックで使えそうだな。

さて、今日の宿題は、「ばっつ」
ヒント:「×(ばつ)」ではない(え? 全然、ヒントになってない ハイ)。
では、もうひとつヒント:「ばっつこ」とも言う(これもヒントになってない・かも)。

ほんで、まだね〜。

つづく...