164. みほちゃんが来た (2000.2.13)

先週だったかな、ある日突然・みほちゃんから電話をもらった。
「西新宿にいる」と言う。
聞くと、すぐ近くのアイランドタワーだって。
「来て〜〜」と言ったら、訪ねてきた。
みほちゃんは、学生寮の同じ部屋で生活を共にした1つ下の後輩だ。
それから20年近くの時は流れた。

1970年代後半、その女子大寮には500人近い生徒が住んでいた。
私の部屋は4人部屋。それ以外に5人部屋や6人部屋がある。

時間に制約され、あらゆることを共有した生活は窮屈でもあったが、毎日が修学旅行のような楽しさもある。
親元では我がままな私が、寮生活で、その大部分を矯正された。

時間の規則はいろいろなところにある。朝食/夕食の時間、入浴の時間、電話の時間、門限。
ハッとしながら時計を見る夢をしばしば見た。
その夢はこうだ。
なぜか私は、JR新宿駅の中央線ホームにいる。
時計を見上げると、22時10分前(門限は22時)。
「しまったぁ〜、もうダメだ〜」と思ったところで、汗だくになりながら目がさめる。
あ〜、目覚めが悪い。
その夢は、寮を出てから後、一度も見たことはないのだが。

みほちゃんが入学した時、私の部屋は2年生(私)が1人と、1年生が3人の「最悪」と言われる構成だった。
こういう部屋は、2年生1人だけが仲間はずれになるらしい。
なんとか皆さんと仲良くしなくちゃいけない。こういう事は最初が肝心だな。
荷物をほどく手伝いなんかしてポイントを稼ごうかとたくらんでみる。

ところが入寮日、私は新入生受付担当として案内係を勤めることになった。
うちの部屋どころではなく、朝からバタバタと玄関と部屋を何往復もしている。
私が他の新入生を案内しているうちに、ああ、我が新人は部屋に入り、荷物をほどいているらしい。
「どんな娘だった?」と聞いても、らちがあかない。
やっと受付の仕事も済み、部屋に行ってみると、明るい3人娘がそこにいた。
みほちゃん、久美ちゃん、恭子ちゃん。

私の部屋は最悪どころか、私の人生の中でも、特筆して楽しい日を過ごすことになった。