220. 歌舞伎座に行こう2 (2001.10.9)

高校生の授業の一つとして、国立劇場で歌舞伎を見て、その間ずっと熟睡したというスタッフ君が「歌舞伎座に行こう」を読んで意見してきた。

「オヤマさん、歌舞伎座で一番贅沢をしても、安いじゃないスか?」
「・・・」
「一番いい席で16,000円、それに吉兆つ〜んスか? そこで食って6,300円。足しても22,300円だ」

そのくらいの額は、賭け事で負けてるに違いないスタッフ君らしいご意見。
しかしながらスタッフ君、そうはいかんのだよ。

一番いい席は「桟敷(さじき)席」というが、ここは客席の中でも一段高くなっているところを指す。
舞台に向かって左右の端に横向きになっている席だ。
左右を「東西」という呼び方をする。
東の方が格が上で、役者が花道で演技をする時は、東の桟敷席に向かって立つ。
「桟敷・東1の1番」といえば、泣く子も黙る。

それでも西の方が好きという人もいる。花道に近いからだ。
花道に七三に立って演技する時に、西の桟敷から、よく見える。

いずれにしても桟敷席は、金を用意しても入手困難な席だ。
大株主さんの筋や、大事なお客などに、最初にチケットがまわる(らしい)。

正月の初舞台では、京都の芸子さん達が桟敷に座って花を添える。
桟敷席も、舞台の一部という考えもあるほどで、着ていくものにも気を遣いたいものだ。
そういうわけだから、窓口で「桟敷席」と言っても、簡単に入手できるものでもない。

それに「吉兆」あたりで食事となれば、まさか弁当だけでは済むまい。
ケチな人間は行ってはならない。それなりの格があってしかるべきではないか。
例えば、10代の若者が無理をしてブランドもののバックを買ったとしても、それだけが浮いているようでは「粋(いき)」とは言えない。内面からにじみ出る「品格」が伴ってこそ「粋」なんだ。

歌舞伎座という空間は、お金持ちはそれなりに楽しみ、貧乏人にも、それなりに楽しめるというところが好きだ。

歌舞伎の友であるジョイちゃんと、3階への階段を上ったり降りたりしながら、「婆さんになったら1階で見ようね」というのが合い言葉になっている。
そうは言っても、ばあさん達が杖をつきながら、3階への階段をエッチラオッチラと上る姿はよく見かける。
我々が婆さんになっても、やっぱり、ふ〜ふ〜言いながら階段を上っているかもしれない(その可能性は高い)。

ジョイちゃんは一度だけ桟敷席に座った事があるというのが自慢だ。
自分で購入したのではなくプレゼントだったらしい。
私も一度でいいから座ってみたいが、当分ないだろな(こんなことを書いたら、誰かプレゼントしてくれないかしらん? ←スタッフ君・読んでるかい?)