27. ああ〜バイト時代 (1998.12.9)

皆さんは、どんなアルバイト経験をお持ちだろうか?
私の場合、アルバイトデビューは、遅かった。

東京の女子短大に通い、その後、池坊御茶ノ水学院で花嫁修業をし、当時の学生に比べたら、少しばかり優雅に暮らしていた。卒業したら、実家に帰るように言われてはいたが、まさか、「すぐには仕送りを止めないでしょう」と思った。甘かった。
「卒業したんだから、帰ってだいよ(気仙沼弁:帰ってきなさいよ)」ガチャン・ツーツー(電話を切る音)。母は、その言葉を吐き捨て、二度と再び、送金することはなかった。

23歳になったというのに、何をとち狂ったか、私はバンドデビューを狙っていた。
バンドメンバーは皆、貧乏だが、バイトで生計をたてている。私だけが親のすねかじりでは、いかん。
「よ〜し、働くぞー」とこぶしを握る。
考えてみると、バイトらしいバイトは初めてだ。
「アルバイトニュース」という雑誌をチェックする。

お、ちょうど最寄り駅近くの老舗「た○ばな」で「ケーキ販売員」を募集している。
その店で、よくケーキを買う。店内の雰囲気もいいし、これはいい。さっそく電話する。
「君、学生?」と担当の男の声がぶっきらぼうに言う。
「いいえ、卒業しました」
「口のきき方、なってないよ。うちは老舗で、お客様は、お金持ちの方が多いんだから、そんな口の聞き方じゃ、使えないね。」ガチャン・ツーツー。

「えっ? うっそ〜〜〜」電話だけで、バイトを断られてしまった。
「本当は、私は・お客なんだぞ〜〜」と叫びたかったが、ショックで、口がきけない(涙)。
「た○ばな」に包丁を持って、おどしに行こうかと過激なことを思ってしまった(嘘、いや半分、本気)
その後、何年も「た○ばな」のケーキを買わなかったのは、言うまでもない。
人生、初めての屈辱。タラ〜〜リ。

今は、スタッフに「話し方がなっちゃいない」だの、「挨拶がうんぬん」だの、「電話は会社の顔」だのと、えらそうなことを言っているけれど、私の若い頃は、相当ひどかった(かもしれない)。うちのスタッフは、皆、学生時分からバイトをしている。えらい。

ふ〜〜、働くって大変なことなのね。
一発目で、早くもめげそうになる自分を奮い立たせ、次のバイトにチャレンジする。
くよくよしてはいけない。さぁ、次なるバイトは....     つづく