84. 気仙沼線の旅 (1999.5.11)

気仙沼線に乗る時は、明るいうちに乗ってほしい。
海が見えるんだ。
気仙沼に向かって「右手」に海は広がる。

「志津川(しずがわ)駅」の少し手前に、長いトンネルがある。
そのトンネルを抜けると、目の前は大平洋だ。いや、ホントの話。
そして、またトンネル・海・トンネル・トンネル・海。

海に面してトンネルが多いということは、山が海に迫る地形を表している。
神戸や横浜もそうだが、気仙沼もそうなんだ。

その地の利を活かして「牡蠣(かき)」や「ほたて」の養殖が盛んだ。
しかし、公害が海に与える影響は深刻で、地元の人が「森は海の恋人」運動を展開している。
なぜ「森」と「海」が恋人なのか?
こちらをご覧いただきたい。自然は深いなぁ〜と感心すること間違いなし。

「汽車の窓から海が見える」風景は、実はよくある。関東の方は「江の電」を思い出されるだろう。
では、気仙沼線から見る「海」の良さは、なぁ〜〜んだ?
それは、長いトンネルにある。
暗くて長いトンネルは、身も心も、ずしっと沈む。次の瞬間にパッと海が広がる。
「長いトンネルを抜けると海であった!」
「雪国」ではないが、トンネルには、おもわぬ効果がある。

それにしても、この線にはトンネルが多い。
「海だぁ〜〜〜〜」と喜ぶのもつかの間、また「ガーーーーー」とトンネルに突入。
そして、また海!
その一瞬に見える海、しかも雄大な大平洋を、見逃さないように窓に張りついてしまう。

「一瞬」というのは、人に感動を与えるものだ。
桜が一年中咲いていたら、お花見はしない。
オリンピックは、その一瞬見たさにテレビの前で、力が入る。
大相撲、サッカーのゴール、野球のホームラン、その瞬間を見たくてテレビに張りつく。

気仙沼線から見る海の良さは、それと同じだ。
ときどき見える雄大な大平洋を見逃さないように、しっかりと窓に張りつく。

これぞ旅の醍醐味である。
ふふ、あなたも気仙沼に行ってみたくなったでしょ?
さ、夏休みは、気仙沼に行こう!