144. 本格派・気仙沼弁---31 (1999.10.14)

「私、入院したんだでば」
「ババババッ、何したのっさ?」

この「ババババッ」はどういう意味でしょうか?
「婆・婆」ではない(笑)。
驚いた様子を表わす言葉で、「ビックリ!」の意味だ。
同じ「ババババッ」でも、そのスピードと強さによって、驚きの度合いは異なる。
速く・強く「ババババッ」と言うと、「超〜・ビックリ!」

最高潮の驚きには、「バババババババッ」と早口で、「バ」を連打する。
「超〜・超〜・びっくり!」という意味。

逆に、小っちゃな驚きには「バ」と、ひと声、発すればよい。
驚いて、絶句、という感じが適確に表現される。

「バババ」と3連符にすることもある。
「ババババッ」は、一拍を16分音符でとる、いわゆる「シックスティーン・ビート」だが、これを3連符にすることで、驚きの度合いは弱まる。
例えば、「つまらない物ですが」と言って、手みやげを差し出された時に
「バババ、かえって気を使わせてしまって〜」などと使う。
この場合、「本来の驚きの意味」からは離れ、「あら〜」というようなニュアンスになる。

さらにゆっくり「ばぁ〜〜」と言うと(つまり2分音符でとると)、「へぇ〜〜」という意味だ。
「4日で退院したのっさ」
「ばぁ〜、ほんで、大したことなくて、いがったね」
(へぇ〜、大したことなくて、よかったですね)

祖母は、「ばや」とも言った。
驚いた時も、相槌のかわりにも、あらゆる場面で「ばや」を使った。
「おばあちゃん、御飯ですよ〜」
「ばや、もうそんな時間すか?」(この場合は、「あら」という意味)。

「どこそこのおじいちゃんが亡くなったって」
「ばや(絶句)」(この場合は、驚きの「ババババッ」と同じ意味)。

「ばや」は、面白い発音だが、私自身は「ばや」を使っていないので、ただ単に祖母の口癖だったのかどうかは、定かではない。実家では、祖母から受け継いだ父が、「ばや」を口癖にしている。
(「ばや」を御存じの方は、oyama@bonito.co.jp までご連絡くださいませ)。

「バ」は、その音を伸ばすのか、連打するのか、言い方によって、いろいろな場面に使えておもしろい。
気仙沼にお越しの際には、そのサウンドに耳を傾けてほしい。
私は、気仙沼弁がラップミュージックにも通じるサウンドだと思っているが、この「バ」の使い方などは、ビート感があって楽しい。

では、ひさしぶりに宿題。
「シャッテ」は、どういう意味でしょうか?
(この問題は、イサヲさんからいただきました)

ほんでね。

つづく...