160. 本格派・気仙沼弁---35 (2000.1.14)

面と向かって嘘つき呼ばわりされたら気分のいいものではないが、気仙沼では「違う」の代わりに「嘘」をよく使うから覚えておくといい。そういうものかとわかっていれば気分を害することもないだろう。

東京でも「うっそ〜」などと使う。
あれと同じなので、慣れてしまえば違和感はないだろう。

しかし、発音には要チェック。
父の場合、「嘘だ」が、「うすた」となる。
強調する時には連呼して「うすた・うすたぁ〜!」となるから、「この人、何かだってんだべ?」(何言ってるんでんしょうね?)となってしまう。

「うそ」の「そ」が「す」になるし、いつもなら濁音を使うであろう「だ」が、この場合、なぜか「た」と濁らない。
「うすたぁ〜」を鼻をふくらませて力説するわけである。

「お父さんと、こごの温泉に来だごとあるっちゃ?」(お父さんとここの温泉に来たことがあるよね?)
「うすたぁ〜、こごでね〜でば」(違うな、この温泉じゃない)
このように使う。
父以外の皆さんは、「嘘だぁ〜」とか「嘘だでば」などと使うので、もう少しは聞き取りやすい。

気仙沼でよく耳にする言葉に、もうひとつ「話だ〜」というのがある。
「○○さんだらっさ、これこれこうなんだってよ」(○○さんが、これこれこうなんですってよ)
「へぇ〜〜〜!」
「まぁ〜ず、話だぁ〜」

この会話通じますか?
この場合、これこれこうだよと噂話をしていて、相手がそれを信じ過ぎてしまわないように、話半分に聞いておけ、と釘を差すわけである。

狭い地域での噂話には尾ひれがつく。どこまで信じていいのか、ほでない。
そんな時に、「話だ〜」(噂ですよ)と一言付け加えておくというある種のマナーなのである。
そんなマナーの仲間入りをしてこそ、なお一層の気仙沼度がアップするというものだ。
ま、裏返せば、噂話が好き、ということでもあるが、これはテレビのワイドショーを見ても言えるように人間のサガなのかもしれない。

ほんでまだねぇ〜。

つづく...