196. 本格派・気仙沼弁---40 <稼ぎ人> (2000.11.15)

「なんと・おらいの息子・稼ぐごど」とおだてられると、バカ息子もムキになって働く。
「稼ぐ」は文字通り「働く」の意味で、気仙沼ではこの言葉はよく使う。

気仙沼は漁港だ。漁港の朝は早い。
朝から晩まで「よく稼く人」は家宝物だ。
「よく稼く人」のことを「稼ぎ人(かせぎと)」と言う。
「おだぐの息子さんは、稼ぎ人(かせぎと)だオンね〜」と誉められると親も鼻高々である。

「稼ぎ人」を気仙沼風にビートをきかせて「かせぎッと」と小さな「ッ」を入れて発音する人もいる。
最後の「と」を強調というか、高いキーで発音してみてほしい。
(ご一緒に)「ka-se-ギット」(出来たかな?)
気仙沼らしいビート感が感じられればOK。
気仙沼弁はそのリズム感が楽しい言語なんだ。

「かせぐな〜」(働くなぁ)は、誉め言葉のひとつでもある。
逆に「かせがない人」は、「かばねやみ」(怠け者)呼ばわりされ、不名誉なことこの上ない。

前回の最後に「仕事は、はっぱ・ハガいがね・ねぇ〜」と書いた。
ここでいう「ハガ」は、分量の事。
広辞苑を引いてみると、「はか(計・量)」の意味のひとつに「仕事の進み具合」とある。
ふむ、それがなまったものだったのか。

「はっぱ・はがいがね〜」は「さっぱり進まない」って事なんだ。
逆に「はがいったな〜」は、「超・進んだぜィ」ってな感じ。

そして私は本日も「はっぱ・・・」ぼやいてないて働くとするか。
ほんで、まだね。