91. 本格派・気仙沼弁---12 (1999.5.19)

気仙沼には、よそから来たお嫁さんもいるし、転勤で数年だけ滞在する人もいる。
近ごろは、外国人も住んでいるそうで、国際化されつつある。
そうなると言葉は非常に大事なツールだ。

さて、気仙沼に移住して間もない頃に祭りがあるとしよう。
会場の端っこにポツンいると、
「こっちさきて、はまらいん」と言われるに違いない。

何と言っていいかわからずにいると
「んだぁ〜、はまらいん、はまらいん」と皆さんから言われるだろう。
ビビらなくていい。フィーリングで返せば、いいのだ。

「こっちさきて」がキーワード。
「こっちにおいで」と言っているんだろう、ぐらいに思えばOK!

海外旅行の時も、一つだけ聞き取れる単語があると、それをたよりに、想像で乗りきることはしょっちゅうある。気仙沼弁もその程度に気楽に考えてほしい。

「はまらいん」はよく使う。
「はまる」(入る)に「〜〜いん」が組み合わさったもの。

「〜〜いん」の意味は、「命令形」だが、言い方によっては、「〜〜しませんか」と丁寧な言葉にもなる。
「こっちさきて、はまらいん」は、「こっちにいらっしゃいませんか」という意味だ。
「Come on!」ってな感じ。

なかなか「はまれずにいる人」を見ると、気仙沼人は、「はまらいん、はまらいん」と口々に言う。皆で楽しくやろうよ、という気持ちがある。
孤独を愛する世界とは異なる。ま、余計なお世話かもしれないが、気仙沼はそういう土地だ。

気仙沼は漁港だから、(ここからは想像)その昔は、どこからか流れついた「流れ者」も大勢いたに違いない。「袖摺り合うも多少の縁」だから、「はまらいん」「楽しくやっぺし」となったのだろう。
男性は「はまれ〜」と言ったりする。
「こっちゃきて、はまれ〜」(意味はまったく同じ)。

さて、気仙沼には「はまらいん音頭」がある。
これを修得すると、いっそう「はまれる」に違いない。

東京で「ハマル」は、若者が使う。「夢中になる」という意味なので、少々異なる。
「インターネットにはまってさぁ〜、ゆうべ徹夜しちったよ」なんてね。
そのうち「はまらいん」が流行ったら、おがし〜おんね。

ということで復習。
「こっちさきて、はまらいん」と言われたら、素直に「はぁ〜い」と言って、輪に入ってしまおう。そして、一度きりの人生をハッピーに生きるのだぁ!

では、宿題、「おしょすい」は、どういう意味でしょうか?
ほんでまだねぇ〜(See you! Bye-bye.)

つづく...