92. 本格派・気仙沼弁---13 (1999.5.21)

前回の「はまらいん」に、あずみさんが「変化形」を加えてくれた(5/19「はまらいんの謎」参照)。
「私もはめてはめて」(!)←あずみさんのページを見てね。

さて、前回の宿題は「おしょすい」
案の定、スタッフ君は、「お小水のこと?」と言ってきた。
期待した通りの答えをありがとう。
(一応補足すると、「お小水のこと? じゃないよね?」(そんな簡単なことではないだろう)という感じではあったが)

「おしょすいのすか?」といきなり聞かれたら、「へ?」と思ってしまうよね。
想像力をふるに使って「トイレに行きたいのか?」が関の山だろう。
答えはブー、はずれ。
「おしょすい」は「恥ずかしい」という意味。

「ねぇムーミン♪ こっち向いて 恥ずかしがら〜ず〜に」を気仙沼では、
「ねぇムーミン♪ こっち向いて おしょ〜すがら〜ずに」と歌う(ウソ!)。

東京では、「恥ずかがっている」とは、あまり使わずに、せいぜい「照れてる」と言う程度か。
自分に対しては「お恥ずかしいかぎりで」とか、若い女性が「キャァ〜、恥ずかしいぃ〜」と使う。

気仙沼では「おしょすがって〜」(恥ずかしがって〜)は頻繁に使われるから、耳を傾けていただきたい。
「おら、おしょすいやぁ〜」(私、恥ずかしい〜)は、便利な言い方だ。
ちょっとドジった時に、言えばよい。
「Oh my God!」のように、スッと出るといい。

ドジを踏んでも深刻に「すみません」と言うと、くら〜くなっちゃう。
「あら〜、すみません。こんなごどしてしまって、おら、おしょすいやぁ〜」と言って、頭ポリポリすれば、いいのだ。
怒るぞ〜と思った方も、つい、笑ってしまう。ここはひとつ笑って許すか、となればしめたもの。

「日本の方言と古語(南雲堂)」で調べたら、「オショシイ」という項目がある。
仙台では、「おしょシイ」というらしい。

東北地方では、「し」と「す」の聞き取りは、難しい。
「し」と「す」の間の発音がある。
日本語で表記すると、「し」か「す」かどっちなんですか、ってなことになる。ま、気仙沼では「おしょスい」が一般的ではあるが、人によっては、「し」に近いかもしれない。

「おしょすい」の語源は、なんと「平家物語」までさかのぼるそうだ(格調高い)。
「勝事(しょうじ)」を「すばらしい」の意味で使ったものが、中世から近世にかけて、「大変だ、困った」の意味に変わった。それが転じて「恥ずかしい」の意味になる。漢字は「笑止」が使われる。

さて、「おしょすがってないで、やれ〜(^0^)」という言い方もある。
例えば、学校のお別れ会などで寸劇を披露する時、おしょすがって台詞が思うように出ないと、「おしょすがんなぁ〜」と励ましてくれる(怒っているのではなく、暖かく見守る感じ)。

皆、口々に「おしょすがんな〜」と言って励ましてくれるから、そのうちにステージが恐くなくなる。
そういうえば、気仙沼人に出たがり、目立ちたがり、ステージに立つと突然ヒーローになる人が多いのは、この言葉のおかげかもしれない。

では、宿題「すっかける」の意味はなぁ〜〜んだ?

ほんでまだね〜。風邪がはやってるようだがら、きつけでねぇ〜。

つづく...